今日から実践可能!漢字の深みを活かして、お洒落なサインの作成方法11選
前回の記事「オシャレでカッコいいサインの書き方!初心者でも英語でスマートに署名できるテクニック11選」に続いて、今回は漢字を使用した署名のコツをご紹介します。
日常生活において、我々日本人は名前や署名をローマ字よりも漢字で記述することが多いでしょう。学校で教わった書き方に慣れているため、特に意識せずとも自然に漢字で筆を進めます。ただし、漢字の文字数が増えると時間がかかりやすく、筆跡をスムーズにつなげて書く際には、綺麗に仕上げることが難しい場合があります。
実際、署名はその人の性格や趣向、さらには品格を表す重要な要素となります。美しいサインは、他者からの評価を高めるだけでなく、さまざまなシチュエーションでの対応にも有利です。多くの人が自分だけの特別な署名を持ちたいと思いながら、作成方法に迷うことも多いでしょう。
では、どのように独自の漢字サインを作成すれば良いのでしょうか?
漢字サインを作るのはそれほど難しいことではありません!
これから、初めての方でも簡単に漢字サインのデザインができる方法とアイデアをいくつか紹介します。
1. 楷書、行書、草書のフォントを参考する
自分の漢字サインがどれくらい読みやすいかを考えてみましょう。
読みやすく、清楚なサインを目指す場合は、【楷書】
それなりに読みやすく、一方で動きを感じるサインを目指す場合は、【行書】
読みやすさよりも独特な個性やかっこよさを求める場合は、【草書】がオススメです。
上記の書体を参考に、サインを作成する際のヒントを紹介します。
例えば、「長野勝行」という名前のサインを考える場合、Googleで「長 行書」、「野 草書」のようにキーワードとして該当する文字の書体やフォントを検索してみます。そうすると以下の画像のように、各漢字の書体が表示されます。それを基に、自分の好みの書体を選んでください。
(長野勝行の行書体↑)
(長野勝行の行書体↑)
(長野勝行の行書体↑)
次に、選んだ書体を基に、サインを書く際のサイズや高さ、密度、筆順、繋ぎ方などを詳細に観察して、自分らしくアレンジしてみましょう。この方法は、手軽に利用できる書体素材を最大限に活用し、漢字の美しさを維持する一方で、迅速にオリジナルの漢字デザインを生み出すテクニックとしておすすめです。
(自分流に書く場合の参考例↑)
2. 線のストロークスタイルと全体の構成を考える
サインは、見る人に与える印象やその人の性格・好みを表現する大事な要素です。その外観からみると、主に直線と曲線のスタイルに大別できます。
直線的なサインは、力強さやダイナミズムを感じさせ、男性的な印象を与えることが多いです。これは、シンプルでシャープなデザインが特徴として挙げられます。対照的に、曲線的なサインは、優しさや柔らかさを強調し、女性的な印象を持つことが多いです。このスタイルは、流れるような形状や滑らかなカーブが魅力となっています。
自身のサインを考える際、どのスタイルが自分の性格や好みに合っているかを考えてみると、よりオリジナリティあるサインが生まれます。
では再度、「長野勝行」を例に、直線的なサインと曲線的なサインでどのように印象が変わるのか見てみましょう。
(長野勝行の直線スタイルでの書き方↑)
(長野勝行の曲線スタイルでの書き方↑)
このように、直線的なサインを試みると、各文字の線をシャープに、そして短く断続的にすることで、力強い印象を与えることができます。一方、曲線的なサインになるとと、各文字を滑らかなカーブで繋げることで、穏やかでやわらかいな印象を出すことができます。
また、個体のライン以外、全体の構成や形状を考慮することで、さらに印象的で独自のデザインが生まれます。下記は同じ「長野勝行」の名前を例にした、さまざまな構成のデザイン例です。
3. よく使われるフレームを取り入れる
サインをよくみると、その中に独自の美しさや特徴が見えてきます。そしてその中でも特に目立つのが「フレーム」、すなわちそのサインの骨格や構造です。フレームはサインのアイデンティティを形成し、文字の読み取りやすさや美しさを保つ役割を果たします。
それでは、直線と曲線をそれぞれ例にして、下記2つのフレームについて解説します。
(直線フレームとその応用例1↑)
(曲線フレームとその応用例2↑)
4. 気にいったサインを真似して、自分の名前に取り込む
サインを作成する際、著名人やデザイン会社のサンプルからインスピレーションを得るのは素晴らしい方法です。しかし、単に真似るだけではなく、どのようにそのサンプルの特徴を自分のサインに取り込むかを工夫する必要があります。
以下では、サンプル「齊藤龍」を基にして、「齊藤秀朗」や「田原和典」といった異なる名前へのアダプテーションの方法を見てみましょう。
(齊藤龍サンプル↑)
まず、「齊藤龍」のサインの特徴を探ると、文字の大きさや高さに明確なコントラストが見られます。
この特徴を基に、「齊藤秀朗」のサインを考えると、「齊藤」の部分はそのまま活用可能です。「秀」は縦のラインを強調し、「朗」は終端を右方向に長く伸ばすことで、コントラストを保ちつつ全体のバランスを取ることができるでしょう。また、「秀」の代わりに、「朗」の文字を縦に長くすることも、同様の効果を期待できるでしょう。
(齊藤秀朗のデザイン例↑)
「田原和典」の場合はどうでしょうか。「齊藤龍」と全く異なる文字ですが、同じ構図と雰囲気を持っています。特に「和」の縦のラインを強調することにより、横とのバランスを取りながら、サイン全体に縦のリズムを生み出し、独特の印象を与えます。また、「典」の横線を右に長く伸ばすことで、サインの終わりにダイナミックさを加え、全体としての安定感を高めることができます。
(田原和典のデザイン例↑)
5. 共通する線を繋げて一つの大きなストロークに
これは、名前の中に直線の文字が特に多い場合におすすめのテクニックです。例えば「田中」や「三浦」のような名前には直線的な部分が多く含まれており、このテクニックを適用すると効果的です。名前に含まれる直線の部分を一つの大きなストロークとしてまとめることで、流れるような美しいサインを作成することができます。このアプローチは、名前の各文字をつなぐだけでなく、サイン全体に統一感をもたらすことも可能です。
上記の例からもわかるように、その大きなストロークはサインの上部、中央、下部のどこにも適用できます。また、必ずしもシャープな直線だけでなく、ゆるく曲がる曲線でも問題ありません。自分の名前や与えたい印象によって選択してください。
また、ちょっと複雑な「長野勝雄」の名前例も見てみましょう。
6. サインの筆順を変更して筆運びをよくする
サインを考え始めると、多くの方がまず直面するのは「筆順」の問題です。特に、今回漢字名前の場合、学校で学んだ書き順が強く頭に残っているため、それが手の動きや思考に自動的に影響します。これらは思考の制約となり、文字同士の新しい結びつきや流れを発想するのが難しくなります。
そんなときこそ、筆順を大胆に変えてみることをおすすめします。新たな筆順は新しいアイディアや視点を生むかもしれません。また、独自の筆順を採用することで、他の人が模倣するのが難しくなり、個性的なサインデザインが実現できます。
例として、下記「松田隆人」の名前で、通常の筆順と異なる筆順のデザインを見てみましょう。
7. 筆画の共有でサインをシンプルに
「齋藤」や「健嗣」といった筆数の多い名前、または5文字以上の名前を持つ方は、通常の書き方ではサインに時間がかかることがよくあります。しかし、このような場合でも、隣接する文字の筆画や部首に共通する部分を見つけ、それを一つの筆画や文字にまとめるアプローチが考えられます。この方法を取り入れることで、全体の筆数を効果的に減らすことができます。
筆数を減らすことの主な目的は、重複する筆画をシンプルにし、サインを迅速に書き上げることです。この考え方を具体的に理解するために、下記「高須英津子」と「佐藤大悟」といった名前を例として見てましょう。
8. 装飾タッチでサインに個性を注入
サインは単なる名前の書き取りだけでなく、自分の個性やスタイルを表現する手段ともなるものです。ここで紹介する装飾的なタッチを加えることで、サインはより魅力的かつ独特なものへと変わります。
大切なコツとして、文字の基本形や筆の繋がりをあまり意識することなく、自然な流れの中の一筆の延長として装飾を加えることが挙げられます。特に、一筆の終わりや関係のない余白スペースに装飾を追加することで、全体のバランスや印象を高めることができます。
装飾的な記号や要素を取り入れることは、サインをより魅力的で面白くするだけでなく、書き手の職業や趣味、特徴を表現する手段としても有効です。例えば、音楽家ならば音符の形を、芸術家ならばパレットの形をデザインに取り入れることが考えられます。
初めての方でも、自分の好みや個性に合わせてサインに装飾的な要素を取り入れることができます。以下で、この考え方を元にしたサインのデザイン例をいくつか紹介いたします。文法や表現がより自然となるように修正しました。
9. 極端にシンプルで抽象的なアプローチ
この方法を使えば、筆数が多い名前も非常にシンプルなサインに変えることができます。デザインの際、フォントなどを駆使して各漢字の中心的な筆や外観の特徴を分析。この分析を基に、運筆の流れに取り入れ、隣り合う筆を統合したり、共通部分を工夫してシンプルかつ明瞭な署名に仕上げます。
このサインの特徴は、一見シンプルに見えるものの、書法のルールや書きやすさを考慮して短時間で書けるデザインにまとめられています。これは書法の理論と個人の書き癖や特性を巧みに組み合わせた結果です。
下記「鈴木弘之」を例に、どのようにサインをデザインしていくかのステップを説明いたします。
10. 対比でデザインに深みや立体感を与える
他人がサインを見た時に「良い」や「格好いい」と感じるのは、初めて見た瞬間の印象が大きいです。この感じ方をシンプルに言えば、2つのポイントがあります。「文字の組み立て」、「デザインのインパクト」です。今回は、「デザインのインパクト」に焦点を当てます。
対比は、異なる要素を強調する技法で、サインの魅力や形を際立たせる効果があります。例えば、サインの「大きさ」や「高さ」、そして「密度」や「横と縦のバランス」など、いくつかの要素で対比を作り出すことができます。これにより、サインが一層引き立ち、見る人の目を引くようになります。対比は文字同士、またはライン同士で工夫することができます。
具体例として、「田村勝之」という名前をとりあげ、どのように対比を活かせるかを見てみましょう。
(直線と曲線↑)
(高い部分と低い部分↑)
(大きい部分と小さい部分↑)
(縦の勢いと横の勢い↑)
まとめ:気に入ったテクニックを取り入れて大胆にチャレンジ
以上が、今回紹介するテクニックの全てです。今回ご紹介したものは、私たちデザイナーが長年の経験を通じて学んできたアプローチの一部に過ぎません。もちろん、これだけでなく、多種多様なテクニックや方法が存在します。私たちはそれらを総動員して、日々のデザイン活動を推進しています。
サインデザインには絶対的なルールは存在しません。どれだけユニークなスタイルであっても、自分自身が感じる魅力や意味を込めているならば、それは素晴らしいマイサインと言えます。大事なのは、とにかく始めることです。以前、サインのデザインに挑戦したことがあるが途中で断念した方も、ぜひこの機会に再挑戦してみてはいかがでしょうか。
また、公式ではありませんが、私のところではマイサインに関する相談もお受けしています。デザインやアレンジなどについて、どうぞご気軽にcreate_my_signature@syomei.comまでお問い合わせください。可能な限りのアドバイスを無料で提供いたします。