筆跡鑑定の基本とセキュリティ

筆跡鑑定は偽造文書や遺言書などの文章を書いた人物を判定するために行われますが、近年はセキュリティにもその観点が取り入れられています。

様々なことが分かる筆跡鑑定

筆跡鑑定とは、ある筆跡が同一人物のものか、そうでないかを識別することをいい、筆者識別とも呼ばれます。犯罪の鑑識として脅迫文書や偽造文書などの筆者を判定するのにつかわれるほか、契約書や遺言書など、日常的な文書が特定の人物によって書かれたものであるかを調べるために使われることもあります。また、筆者が同一かどうかを判定する以外に、他人のものに似せて書いた文字ではないかという判定や、筆記用具は何を使って書かれているかなどを判定することもできます。

日本の筆跡鑑定の歴史は古く、起源は平安時代まで遡るともいわれますが、その当時の鑑定は鑑定士の主観的なものでした。現在行われている科学的・客観的な鑑定が重要視されるようになってきたのは、裁判で筆跡鑑定の必要性が高まった明治以降といわれています。

筆跡鑑定はどこを見るか

筆跡鑑定は、人の筆跡に固有の特徴である「筆癖」が表れることを利用して行われます。鑑定におけるポイントは様々ですが、主に「字画」「筆順」「筆圧」「配字」「偽筆」といった要素が着目されます。

「字画」と「筆順」については比較的耳慣れた言葉かもしれませんが、簡単にいえば前者は文字の形、後者は書き順のことです。他の3つは少し分かりづらいですが、「筆圧」は書くときの力の入れ具合、「配字」は文字の位置や間隔などのことをいい、最後の「偽筆」は、他人を真似て書かれた文字のことをいいます。何も考えずに書いた自分の字と違い、他人の文字を真似て書いた文字には細かい震えがあったり、文字全体の調和がとれていなかったりして不自然な部分が表れるので、そこを検査すれば識別することができるのです。

筆跡鑑定

筆跡鑑定の方法

広く採用されている鑑定方法は、まず目視による検査・分析です。目視というと少しアナログな感じがしますが、多角的に文字や書き方の情報を得ることができるメリットがあるほか、アクシデントにより書字行動が変わった場合も経験と知恵で補正して鑑定を行える強みがあります。その一方で、鑑定士による主観性や力量の差が出てしまうのがデメリットです。

一方、数字を用いた客観的な鑑定として「数値解析」があります。クラスター分析や重回帰分析など、様々な数値的分析手法を用いることで違いを識別し、偽筆なども判別することができます。裁判用資料としては、この数値解析をされた筆跡鑑定だけが使われます。

筆跡とセキュリティ

近年、情報化社会が進展するにつれセキュリティの重要性が高まっています。本人を確認する方法として、公共機関や企業から個人のセキュリティ対策に至るまで、様々なところで指紋や静脈などを用いた「バイオメトリクス技術」による本人確認が利用されています。このバイオメトリクス技術は個人が持つ特性によって認識を行う技術ですが、筆跡もこの定義に当てはまります。

訓練された人間であれば、他人の筆跡を高い精度で真似ることができます。社会から求められている高いセキュリティを実現するため、より詳細な筆跡データを利用した署名認証技術も登場しています。

有名なツールがウィッツェル株式会社の「Cyber Sign」で、パソコンやスマートフォンなどのロック、電子文書の署名に利用でき、予め登録した署名とタッチパッドや画面に手書きで書く署名との照合を行います。利用される筆跡データは形状など静的な情報だけでなく、筆圧、ペンの速度、傾きなど動的な情報も含むことが特徴で、その中には空中でのペンの動きまであります。文字の形を真似ることはできても、書く速さやペン先が離れているときの動きまで真似るのは簡単ではないと考えられるので、署名によるセキュリティにかなり高いものが期待できるでしょう。

今後ペーパーレス化が進めば、電子署名の機会も増えていくと予想されます。パスワードのように管理の手間もかからない署名は、利便性も高く、今後の情報化社会でも重要な役割を果たすと考えられます。これからも、Cyber Signのような筆跡鑑定的な観点を取り入れた技術がますます求められることになるでしょう。

参考URL
http://alfs-inc.com/hituseki/002.htm
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%86%E8%B7%A1%E9%91%91%E5%AE%9A

筆跡鑑定の概要


https://kotobank.jp/word/%E7%AD%86%E8%B7%A1%E9%91%91%E5%AE%9A-863467
http://www.sogeikai.com/analysis/target.html

筆跡鑑定のプロが伝授!文書改ざんを見破るワザ


https://www.jstage.jst.go.jp/article/iscie/22/1/22_1_37/_pdf
http://alfs-inc.com/hituseki/013.htm
http://alfs-inc.com/hituseki/013.htm
https://www.witswell.com/cybersign/CSIwinlogon_jp.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です